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初期臨床研修プログラムについて
プログラム名:宇部協立病院臨床研修プログラム
宇部協立病院における臨床研修の特徴
健文会は、159床の中規模病院である宇部協立病院をセンター病院として、
・病院(1)
・医科診療所(2)
・歯科診療所(3)
・訪問看護ステーション(3)
・ヘルパーステーション(1)
・グループホーム(1)
・デイサービス(3)
・在宅介護総合センター(1)
・居宅介護支援事業所(1)
で構成されており、その活動の拠点は宇部小野田地域を中心に下関地域を含む山口県西南部にあり、予防から診断、治療そしてリハビリ・介護までを一連のものとしてとらえ実践しながら、さらに医療制度をよくする運動にも取り組んでいます。
初期臨床研修は主たる宇部協立病院と後述する研修協力病院を中心に行われますが、職員一人一人の顔が見え、病院全体の動きが把握しやすいこの中規模病院の中で、民主的な集団医療を体験・実践しながら、その機動性を生かし研修医自らも院所の医療活動の創造・改善に参加していただきたいと思います。
一方で、全国組織(民医連および医療生協)に加盟しているという特徴を生かし、全国の仲間と交流しながら、自らの研修や医療制度の問題について語り合うことができます。そうした中で、これらのシステムや制度を固定したものとしてとらえ研修や医療を行うのではなく、自らも改革者としてこれらのシステムや制度の改善・改革の一翼を担って行けるように成長を期待し、援助します。
プライマリケア研修としての中規模病院での臨床研修の意義
プライマリケアの基本的能力習得のためには、臓器別に分断されていない診療環境の中で、臓器別ではなく重要度・頻度を重視した診断学と、救急疾患の初期治療、高頻度疾患の治療・管理といった臨床の基本を、主体的に学習・経験し、実践してゆくことが重要です。また、地方で地域医療を支える医師を育んでいくためには、キャリアを積んで特殊技能を身につけてそれを売り歩く医師を育てるのではなく、地域の中で往診などを通して“生活している”患者さんを実感しながら、ともに働く仲間とともに「地域で何が求められ、自分に何ができるか」を考えながら、自らの将来の医師像を描いてゆけることが大切だと考えています。
初期研修においてのこうした大切な経験や実践は、患者さんに対して、役割を分担・分化した大きな組織の一つの歯車として部分的・受動的に関わるのではなく、個人対個人として全体を通して継続的・主体的に関わってゆく中で、体験してゆくべきものだと考えます。
そのためにも、当院のような総合診療を行う中規模病院が初期の臨床研修にもっとも適していると自負しています。
理念・基本方針
医療生協健文会宇部協立病院臨床研修プログラムは,将来どのような医療分野に関わろうとも,主治医として患者の立場に立ち、健康の社会的決定要因(SDH)の視点を重視し、社会資源を活用しながら健康問題の解決に向けて調整できる医師の育成をめざします。 加えて,個々の受け持ち患者のみならず,健康問題を抱えながらも来院すらできない人々がいることを深く認識し,こういった人々も含めた地域全体の健康に目を向け,これを発信・改善・増進して,『安心して住み続けられるまちづくり』の実現をめざしてゆくコミュニティー・リーダーの育成もめざします。
1)担当医
主治医である指導医の指導のもとで,患者の担当医として患者の診断治療,健康管理にかかわります。患者に対する責任の自覚と診療への積極性を養うため,研修の進行状況に合わせ,主治医機能を徐々に担当医に委譲していきます。
2)基本的臨床能力
プライマリ・ケアの基本的臨床能力として,①臓器別ではない症候を中心とした診断能力,②救急疾患の診断と初療の能力,③高頻度疾患の診断と治療,の研修を重視します。
3)継続性
将来,主治医として,患者の抱えるすべての健康問題に対し関心を持ち,継続してその健康管理を行えるように,診療は極力継続性を重視する。そのため,受け持った患者は,外来から病棟,内科から外科,そしてまた外来,さらには在宅医療と,たとえ医療現場が変化していっても,なるべく継続して担当医として患者に寄り添いその診療に当たります。
4)院外活動、他職種との連携
地域の健康問題に関心を持ってもらうため,在宅診療や医療生協の班会,さらには多職種カンファレンスやケースワーカーの症例検討会など,院外活動や他職種との連携を積極的に行っていきます。
指導医体制
【指導医】臨床研修の一般到達目標
Ⅰ. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)を身につける
1. 社会的使命と公衆衛生の寄与
社会的使命を自覚し、説明責任を果たしつつ、限りある資源や社会の変遷に配慮した公正な医療の提供及び公衆衛生の向上に努める。
2. 利他的な態度
患者の苦痛や不安の軽減と福利の向上を最優先し、患者の価値観や自己決定権を尊重する。
3. 人間性の尊重
患者や家族の多様な価値観、感情、知識に配慮し、尊敬の念と思いやりの心を持って接する。
4. 自らを高める姿勢
自らの言動及び医療の内容を省察し、常に資質・能力の向上に努める。
Ⅱ.基本的診療業務ができるレベルの資質・能力を習得する
1. 医学・医療における倫理性 … 診療、研究、教育に関する倫理的な問題を認識し、適切に行動する。
①人間の尊厳を守り、生命の不可侵性を尊重する。
②患者のプライバシーに配慮し、守秘義務を果たす。
③倫理性ジレンマを認識し、相互尊重に基づき対応する。
④利益相反を認識し、管理方針に準拠して対応する。
⑤診療、研究、教育の透明性を確保し、不正行為の防止に努める。
2. 医学知識と問題対応能力 … 最新の医学及び医療に関する知識を獲得し、自らが直面する診療上の問題について、科学的根拠に経験を加味して解決を図る。
①頻度の高い症候について、適切な臨床推論のプロセスを経て、鑑別診断と初期対応を行う。
②患者情報を収集し、最新の医学的知見に基づいて、患者の意向や生活の質に配慮した臨床決断を行う。
③保健・医療・福祉の各側面に配慮した診療計画を立案し、実行する。
3. 診療技能と患者ケア … 臨床技能を磨き、患者の苦痛や不安、考え・意向に配慮した診療を行う。
①患者の健康状態に関する情報を、心理・社会的側面を含めて、効果的かつ安全に収集する。
②患者の状態に合わせた、最適な治療を安全に実施する。
③診療内容とその根拠に関する医療記録や文書を、適切かつ遅滞なく作成する。
4.コミュニケーション能力 … 患者の心理・社会的背景を踏まえて、患者の家族と良好な関係性と築く。
①適切な言葉遣い、礼儀正しい態度、身だしなみで患者や家族に接する。
②患者や家族にとって必要な情報を整理し、分かりやすい言葉で説明して、患者の主体的な意思決定を支援する。
③患者や家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握する。
5.チーム医療の実践 … 医療従事者をはじめ、患者や家族に関わる全ての人々の役割を理解し、連携を図る。
①医療を提供する組織やチームの目的、チームの各構成員の役割を理解する。
②チームの各構成員と情報を共有し、連携を図る。
6.医療の質と安全の管理 … 患者にとって良質かつ安全な医療を提供し、医療従事者の安全性にも配慮する。
①医療の質と患者安全の重要性を理解し、それらの評価・改善に努める。
②日常業務の一環として、報告・連絡・相談を実践する。
③医療事故等の予防と事後の対応を行う。
④医療従事者の健康管理(予防接種や針刺し事故への対応を含む。)を理解し、自らの健康管理に努める。
7.社会における医療の実践 … 医療の持つ社会的側面に重要性を踏まえ、各種医療制度・システムを理解し、地域社会と国際社会に貢献する。
①保健医療に関する法規・制度の目的と仕組みを理解する。
②医療費の患者負担に配慮しつつ、健康保険、公費負担医療を適切に活用する。
③地域の健康問題やニーズを把握し、必要な対策を提案する。
④予防医療・保健・健康増進に努める。
⑤地域包括ケアシステムを理解し、その推進に貢献する。
⑥災害や感染症パンデミックなどの非日常的な医療需要に備える。
8.科学的探究 … 医学及び医療における科学的アプローチを理解し、学術活動を通じて、医学及び医療の発展に寄与する。
①医療上の疑問点を研究課題に変換する。
②科学的研究方法を理解し、活用する。
③臨床研究や治験の意義を理解し、協力する。
9.生涯にわたって共に学ぶ姿勢 … 医療の質の向上のために省察し、他の医師・医療者と共に研鑽しながら、後進の育成にも携わり、生涯にわたって自律的に学び続ける。
①急速に変化・発展する医学知識・技術の吸収に努める。
②同僚、後輩、医師以外の医療職と互いに教え、学びあう。
③国内外の政策や医学及び医療の最新動向(薬剤耐性菌やゲノム医療等を含む。)を把握する。
Ⅲ. 基本的な診療を単独で行えるようになる
コンサルテーションや医療連携が可能な状況下で、以下の各領域において、単独で診療ができる。1. 一般外来診療
頻度の高い症候・病態について、適切な臨床推論プロセスを経て診断・治療を行い、主な慢性疾患については継続診療ができる。
2. 病棟診療
急性期の患者を含む入院患者について、入院診療計画を作成し、患者の一般的・全身的な診療とケアを行い、地域連携に配慮した退院調整ができる。
3. 初期救急対応
緊急性の高い病態を有する患者の状態や緊急度を速やかに把握・診断し、必要時には応急処置や院内外の専門部門と連携ができる。
4. 地域医療
地域医療の特性及び地域包括ケアの概念と枠組みを理解し、医療・介護・保健・福祉に関わる種々の施設や組織と連携できる。
臨床研修病院年次報告
医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令(平成14年厚生労働省令第158号)第12条に基づき、以下の通り報告します。
■ 様式10 臨床研修病院年次報告書